ブックレビュー [BOOKレビュー]
今回は、前回のレビューの続き的な作品から参りましょうか。
故・北森鴻氏の未完のまま刊行された作品の一つです。
明治の大建築家ジョサイア・コンドルが手がけた鹿鳴館。
歴史の教科書に載るほどの建築物のはずが、わずか数年で解体され、
設計図も残っていないという謎の建物でもあります。
そのコンドルが、なぜ鹿鳴館を設計したのかを虚実織り交ぜて書かれたのがこの作品。
単純に史実だけをとった歴史物としても面白いのに、さらにミステリーにするなんて、
なんと言う贅沢な話なんでしょう!
コンドルが河鍋暁斎(京極堂の方ではちょいちょい名前が出てきましたが)の弟子だったなんて
全く知りませんでしたし、ジャーディン・マセソン社なんて会社も全く知りませんでしたが。
これが事実なんですよねぇ。
まさに鹿鳴館が着工し、コンドルの意思が明らかになるという所での絶筆。
まさに惜しい、残念としか言いようがありません。
浅野里沙子氏も後を追いきれなかったんですかねぇ。
前述した「サヴァイヴ」と「サクリファイス」の間に入る長編作品。
舞台はツールですよ!ツールドフランス!
最近、CXが地上波でやってくんないから見てないけど、一時期見てましたねぇ。
自転車競技の面白さって、チーム戦でありながら個人戦、ライバルでありながら仲間という
他のプロスポーツとはまた違った関係性にもあるんですが、
この作品の中ではその部分が実に見事にわかりやすく書かれています。
ロードレースの観戦入門書にもいいんじゃない?ってくらいに(笑)
なるほど、これで話が「サクリファイス」につながっていくわけですね。
まず思ったのは、島田荘司氏の「ネジ式ザゼツキー」と似たような構図だということ。
一つの創作(または手記)の中に事実が隠され、
それを探偵が解読し、現実の事件の謎を解くというスタイル。
「ネジ式ザゼツキー」は実に難解でしたが(笑)、こちらの方はまだわかりやすい。
いくつかは何となく読めたのもありましたから。
ただ、現実の事件の方は何となく・・・・。
あと、なんで表紙をこんな風にした!
名探偵になることを宿命・付けられた少女・御陵みかげ。
彼女が初めて遭遇する殺人事件の現場に居合わせた主人公
種田静馬(この名前もなんだかな(笑))が成り行きで助手を務めることとなったが、
彼らの前で、第2、第3の殺人がおこる。
なんとか事件を解決するも、18年後、同じ場所で同じような惨劇が・・・。
なんで2部構成になっているのか、ちょっと不思議だったんですが、
1部の仕掛けと、2部のどんでん返しがインパクトを生みましたねぇ。
1度きりの仕掛けなんで、キャラクターのシリーズ化はないと思いますが、もったいないなぁ。
このタイトルでまず思い出したのが、筒井康隆氏の「富豪刑事」。
なんでもかんでも金にあかせて(ばらまくという意味ではなく)事件を解決するという
当時としては(1984年か!)奇想天外なストーリーだったんですが、
まさかこっちも・・・と思ったら違いました。
使用人を使い情報を集め、推理をさせ、本人は何もしない。
なぜなら使用人は彼の所有物であり、推理などというくだらないことは彼らに任せるべき・・・
貴族貴族はやっぱり貴族でした(笑)。タイトルに偽りなしだわ(爆)。
ただし、「じゃ、なんでお前出張ってくんだよ」という突っ込みはしたくなりますが。
北森鴻氏によるミステリ短編集。
正直、よくわからんというのが素直な感想。
これをミステリ短編集と言っていいものだろうか。
倉知淳氏の「こめぐら」「なぎなた」の読後感に似ている。
読み始めて気がついた。これ既読だわ。表紙違うけど。
ミステリではないものの、北村薫氏の著作ということで購入しました。
新人文芸編集者・小坂井都の本と酒の日々を綴った物語ですが、笑えます。
爆笑ではないけど、随所でクスリと、にやりとさせられる1冊です。
リレーミステリと言えば「堕天使殺人事件」で受けた衝撃が忘れられません。
・・・肝心の内容は忘れてますが(笑)
当時、よくもまぁこんな無茶な設定の事件をまとめたもんだと感心した覚えがありますが、
今作はちょいと事情が違う。
「堕天使殺人事件」の時は前任者の展開を引き継ぎつつ、
振られたネタは受け取りさらに上乗せしていく(笑)と言う、
お祭り的な展開のものすごい話だったはずですが、
今作では、話があっち行っちゃ戻りこっち行っちゃ戻りする感じで・・・。
あと、有栖川有栖先生が抜けたこととかね、なんか。
これはね、凄いですよ。
前作「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」で、
ものすごい設定で度肝を抜いてくれた歌野晶午氏ですが、
ラストがラストだったので、「なんで2.0って続編が?」と思いました。
読み始めて登場人物が全く一緒だったので、
「これはパラレルワールド的ななにかか?」と思い始めましたが、まさかこうくるとは!
これには参りました。
各章の間に入っていた、よくわからない短編が後から効いてきて、思わず読み直し。
うわ〜〜すげぇわ。
と思っていたら「マニアックス」では、
クローズドサークルの内側で推理合戦を繰り広げていたはずの主人公たちが
現実世界に漏れだしてきた!
それだけではなくその正体は!
これってまだ続編があるらしいんですが、一体どうすんだ!?
以前に書いた銀河編も絡めてこっちにお引っ越し。
全20巻にも及んだARIALシリーズの最新ショートストーリーということで、
買わずにいられませんでした。
銀河編は、ハウザー家のアバルト、シンシア、ダイアナの若き日の物語。
地球編は、岸田家三姉妹とエリアル開発秘話となっています。
話としては銀河編の方がキャラが立っててスペオペしていて面白かったんですが、
地球編は、巨大ロボット建造に関する考察や方法論が面白かったですね。
(ま、最後の1編はどうなんだという気もしますが(笑))
シリーズじゃなくてもいいから、たまに書いてくんないかなぁ。
故・北森鴻氏の未完のまま刊行された作品の一つです。
明治の大建築家ジョサイア・コンドルが手がけた鹿鳴館。
歴史の教科書に載るほどの建築物のはずが、わずか数年で解体され、
設計図も残っていないという謎の建物でもあります。
そのコンドルが、なぜ鹿鳴館を設計したのかを虚実織り交ぜて書かれたのがこの作品。
単純に史実だけをとった歴史物としても面白いのに、さらにミステリーにするなんて、
なんと言う贅沢な話なんでしょう!
コンドルが河鍋暁斎(京極堂の方ではちょいちょい名前が出てきましたが)の弟子だったなんて
全く知りませんでしたし、ジャーディン・マセソン社なんて会社も全く知りませんでしたが。
これが事実なんですよねぇ。
まさに鹿鳴館が着工し、コンドルの意思が明らかになるという所での絶筆。
まさに惜しい、残念としか言いようがありません。
浅野里沙子氏も後を追いきれなかったんですかねぇ。
前述した「サヴァイヴ」と「サクリファイス」の間に入る長編作品。
舞台はツールですよ!ツールドフランス!
最近、CXが地上波でやってくんないから見てないけど、一時期見てましたねぇ。
自転車競技の面白さって、チーム戦でありながら個人戦、ライバルでありながら仲間という
他のプロスポーツとはまた違った関係性にもあるんですが、
この作品の中ではその部分が実に見事にわかりやすく書かれています。
ロードレースの観戦入門書にもいいんじゃない?ってくらいに(笑)
なるほど、これで話が「サクリファイス」につながっていくわけですね。
まず思ったのは、島田荘司氏の「ネジ式ザゼツキー」と似たような構図だということ。
一つの創作(または手記)の中に事実が隠され、
それを探偵が解読し、現実の事件の謎を解くというスタイル。
「ネジ式ザゼツキー」は実に難解でしたが(笑)、こちらの方はまだわかりやすい。
いくつかは何となく読めたのもありましたから。
ただ、現実の事件の方は何となく・・・・。
あと、なんで表紙をこんな風にした!
名探偵になることを宿命・付けられた少女・御陵みかげ。
彼女が初めて遭遇する殺人事件の現場に居合わせた主人公
種田静馬(この名前もなんだかな(笑))が成り行きで助手を務めることとなったが、
彼らの前で、第2、第3の殺人がおこる。
なんとか事件を解決するも、18年後、同じ場所で同じような惨劇が・・・。
なんで2部構成になっているのか、ちょっと不思議だったんですが、
1部の仕掛けと、2部のどんでん返しがインパクトを生みましたねぇ。
1度きりの仕掛けなんで、キャラクターのシリーズ化はないと思いますが、もったいないなぁ。
このタイトルでまず思い出したのが、筒井康隆氏の「富豪刑事」。
なんでもかんでも金にあかせて(ばらまくという意味ではなく)事件を解決するという
当時としては(1984年か!)奇想天外なストーリーだったんですが、
まさかこっちも・・・と思ったら違いました。
使用人を使い情報を集め、推理をさせ、本人は何もしない。
なぜなら使用人は彼の所有物であり、推理などというくだらないことは彼らに任せるべき・・・
貴族貴族はやっぱり貴族でした(笑)。タイトルに偽りなしだわ(爆)。
ただし、「じゃ、なんでお前出張ってくんだよ」という突っ込みはしたくなりますが。
北森鴻氏によるミステリ短編集。
正直、よくわからんというのが素直な感想。
これをミステリ短編集と言っていいものだろうか。
倉知淳氏の「こめぐら」「なぎなた」の読後感に似ている。
ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))
- 作者: 北村 薫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/04/20
- メディア: 文庫
ミステリではないものの、北村薫氏の著作ということで購入しました。
新人文芸編集者・小坂井都の本と酒の日々を綴った物語ですが、笑えます。
爆笑ではないけど、随所でクスリと、にやりとさせられる1冊です。
リレーミステリと言えば「堕天使殺人事件」で受けた衝撃が忘れられません。
・・・肝心の内容は忘れてますが(笑)
当時、よくもまぁこんな無茶な設定の事件をまとめたもんだと感心した覚えがありますが、
今作はちょいと事情が違う。
「堕天使殺人事件」の時は前任者の展開を引き継ぎつつ、
振られたネタは受け取りさらに上乗せしていく(笑)と言う、
お祭り的な展開のものすごい話だったはずですが、
今作では、話があっち行っちゃ戻りこっち行っちゃ戻りする感じで・・・。
あと、有栖川有栖先生が抜けたこととかね、なんか。
これはね、凄いですよ。
前作「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」で、
ものすごい設定で度肝を抜いてくれた歌野晶午氏ですが、
ラストがラストだったので、「なんで2.0って続編が?」と思いました。
読み始めて登場人物が全く一緒だったので、
「これはパラレルワールド的ななにかか?」と思い始めましたが、まさかこうくるとは!
これには参りました。
各章の間に入っていた、よくわからない短編が後から効いてきて、思わず読み直し。
うわ〜〜すげぇわ。
と思っていたら「マニアックス」では、
クローズドサークルの内側で推理合戦を繰り広げていたはずの主人公たちが
現実世界に漏れだしてきた!
それだけではなくその正体は!
これってまだ続編があるらしいんですが、一体どうすんだ!?
以前に書いた銀河編も絡めてこっちにお引っ越し。
全20巻にも及んだARIALシリーズの最新ショートストーリーということで、
買わずにいられませんでした。
銀河編は、ハウザー家のアバルト、シンシア、ダイアナの若き日の物語。
地球編は、岸田家三姉妹とエリアル開発秘話となっています。
話としては銀河編の方がキャラが立っててスペオペしていて面白かったんですが、
地球編は、巨大ロボット建造に関する考察や方法論が面白かったですね。
(ま、最後の1編はどうなんだという気もしますが(笑))
シリーズじゃなくてもいいから、たまに書いてくんないかなぁ。
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